妊娠や出産を経験した女性が
必ずと言って良いほど直面する問題。
そう、「骨盤の広がり」です。
広がった骨盤が産後きちんと元通りに戻らないと、
思わぬ体のトラブルを引き起こしてしまう
危険性があります。
赤ちゃんが生まれて、慣れない子育ての毎日に、
余計な体のトラブルまで抱え込んでしまわないよう、
今日は産後の骨盤矯正について見ていきましょう!
妊娠・出産で骨盤が開きやすくなる?
妊娠すると、出産に向けた準備として、
徐々に骨盤が開きやすい体に
変化していくことをご存知でしょうか?
出産のときに、
赤ちゃんが産道を通って出てくることで、
骨盤が開く、というのは安易に想像がつきますが、
骨盤の緩みというのは、
出産前後にだけ起こるものではないんです。
妊娠3~4カ月頃から産後数日まで、
「リラキシン」というホルモンが分泌されます。
これは骨盤周りの靭帯や関節、
筋肉を緩める作用があり、
出産に向けて徐々に、
赤ちゃんの通り道を整備する役割を担っています。
このリラキシンの作用が働く中で、
日々成長する赤ちゃんの体重を支える骨盤には、
さらなる負担が掛かり、
本来骨盤を支える働きのある
「骨盤底筋」にも負荷が掛かってしまい、
この筋肉も弱っていきます。
緩んだ骨盤周りに、
弱った骨盤底筋など、様々な作用が相まって、
産後の骨盤戻りを悪くしてしまう状況を
作り出してしまうんです。
通常であれば、
骨盤は産後徐々に元に戻っていきますが、
産後息つく暇もなく始まる子育てによって、
毎日安静にしていることは、
なかなか厳しいのが実情・・・
無理な体勢や長時間の抱っこ、授乳、
その合間をぬって行う家事など、
産後弱った体に、回復の猶予を与えられない日々が続きますよね。
こうして骨盤が
きっちり元通りに戻らないままでいると、
様々な産後トラブルを引き起こす危険性があるんです。
骨盤が戻らないとどうなるの?
「産後だんだん戻るんでしょ?とりあえず様子を見よう。」
「なんだか腰が痛いけど、
自分に割いてる時間なんてない!」
そう思って、
自分の体の不調を後回しにしているママさんが、
世の中にはとても多いようです。
しかし産後開いてしまった骨盤を放っておくと、
そのまま関節が固まってきてしまい、
どんどん元に戻りにくい状況に陥ってしまいます。
それでは骨盤が戻っていないと、
どんな症状が出てくるのでしょうか?
① 腰痛
産後の症状として最も多いのが腰痛。
リラキシンによって緩んだ骨盤は、産前と同じように、
きちんと体を支えることができません。
また、赤ちゃんの成長とともにお腹が前に出ることで、
腰が自然と後ろに傾き、「反り腰」の状態を作ってしまいます。
姿勢が悪くなることで、さらに腰に負担が掛かり、
腰痛を引き起こすことは明白ですね。
② 恥骨痛
こちらも①同様、緩んだ骨盤の影響で起こり得る症状です。
足を前に出すと、おへその辺りに痛みが走ります。
不安定な骨盤により、内ももの筋肉が固くなってしまうことも、
この恥骨痛を引き起こす原因となります。
③ 関節痛
無理な体勢での抱っこや家事に加え、
ホルモンバランスの変化や授乳による
カルシウム不足などで起こる症状。
生理が再開すると、ホルモンバランスも整うので、
解消されていきます。
④ 便秘
骨盤底筋が弱ることに加え、
出産による傷口の影響でいきめない、
授乳により水分不足になることなど、
産後は便秘を引き起こしやすい条件が
複数重なってしまいます。
⑤ 尿漏れ
産後の尿漏れは、
「腹圧性尿失禁」と呼ばれるタイプで、
くしゃみや咳など、
腹筋に力を入れた時に起きるものです。
産後で骨盤底筋が弱ると、
内臓が下がってしまい、膀胱を圧迫した結果、
尿道口を閉めることができなくなって
起こってしまいます。
⑥ 冷え性
骨盤が歪んだり、広がったりしたままだと、
全身の血流が悪くなり、冷え性につながります。
これに加え、
不規則な睡眠習慣による自律神経の乱れも相まって、
冷え性を助長する環境が整いやすいのが実情です。
⑦ 肩こり
毎日複数回の授乳、長時間の抱っこなど、
無理な体勢が続く産後。
知らぬ間に肩こりが悪化していることも
少なくありません。
また、これに骨盤の歪みが影響して、
肩こりをひどくさせるケースも散見されます。
⑧ 代謝の低下
産後の代謝低下の理由は様々ですが、
骨盤周りの筋肉が緩んだことやホルモンバランスの影響で、
子宮を守ろうと脂肪がつきやすくなります。
また、骨盤が正常な位置にないと、
全身の血流が悪くなり、冷え性を引き起こします。
これにより血がうまく回っていない筋肉では、
消費エネルギーが少なくなり、結果、
太りやすい体になってしまうのです。
産後の骨盤矯正はいつから?
プロの手を借りた骨盤矯正は、
一般的に「産後1ヵ月以降」が目安となります。
産後約6~8週間は、
「産褥期(さんじょくき)」と呼ばれる期間に当たり、
体が妊娠前の状態に戻ろうとする期間です。
子宮が徐々に小さくなり、
ホルモンバランスも正常な状態に戻っていきますので、
この期間は、体を安静にすることが大切になります。
産後1ヵ月の時期に、
赤ちゃんと一緒に1ヵ月検診があるかと思いますので、
その時に特に問題がなければ、
骨盤矯正をスタートできると思って良いです。
ただし、帝王切開で出産した場合は、
2カ月以降が目安となりますので、ご注意ください。
骨盤矯正の効果が出やすい期間としては、
産後「1ヵ月~6カ月」の間。
産後半年間は、
まだ骨盤が柔らかい状態にあり、動きやすいためです。
早期からきちんと矯正を始めることで、
妊娠前よりも骨盤を締まった状態に戻すことも可能です。
「それじゃあ、産後半年を過ぎると、
元には戻らないの?」という疑問ですが、
ご安心ください。
早期スタートの方よりは、回数と時間が掛かりますが、
徐々に元通りに戻していくことは、もちろん可能です。
その一方で、自力で始められる「骨盤ベルト」。
プロの手を借りるのと比べて、
こちらは手軽、かつ日常的にできる骨盤ケアになります。
現在は各社から様々な骨盤ベルトが発売されており、
デザインやカラーバリエーションに富んだラインナップで、
おしゃれに着用できるものも増えてきています。
このベルトについては、腰痛対策として、
妊娠初期から使用が可能で、
産後の骨盤矯正のためには、
産後2~3カ月まで着用する人が多いようです。
広がった骨盤を元通りに戻す
サポートをしてくれるのはもちろん、
産後トラブルの代表格でもある腰痛の防止・緩和にも役立ちます。
時間的にも費用的にも、
頻繁にプロのケアは受けられない・・・
そんな時には、
骨盤ベルトをきちんと使用することで、
自分ケアを行っていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
妊娠してから出産を終えるまで、女性の体に掛かる負担は計り知れないもの。
中でも、体の要である「腰=骨盤」は、出産によって一番大きな影響が及ぶ箇所。
ここがきちんと正常に戻らないと、
日々たくさんの不調を抱えながら、慣れない子育てをしなくてはならなくなります。
もちろん時間もお金も限りがあることではありますが、
心身の健康のために、産後できる範囲から骨盤矯正を取り入れたいですね。
お子さまとともに健やかな毎日を送るために、この記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント